学生たちが学ぶ「ファッション販売能力検定」とそのポイント

こんにちは、原宿キャンパス編集部です。

当記事では、原宿にあるファッション専門学校で学生たちが学んでいる、「ファッション販売能力検定」の概要と、そのポイントについて書いていきます。

ファッションに関わる職を目指す学生にとっては、受験できる様々な検定が存在しています。

その中でも、ファッション販売に携わる、いわゆる「アパレル販売員」に向けた内容が主となっている「ファッション販売能力検定」は、現役の販売員の方も一度は受験してみる価値はあると思います。

学生たちも学んでいる「ファッション販売能力検定」とは具体的にどういうものなのか?

その検定について学ぶ意味とは何なのかについてお伝えしていきます。

ファッション販売能力検定とは?

「ファッション販売能力検定」とは、一般社団法人日本ファッション教育振興協会が執り行っている、ファッション販売に携わる人のための検定です。

ファッション販売能力検定概要

1級から3級までがあり、主に筆記試験が中心となっています。

2級と3級は、A科目とB科目に分かれており、それぞれ制限時間90分で回答、正答率70%以上が合格基準。

1級は、「ショップ・マネジメント知識」「販売知識」「販売技術」の3項目について、それぞれ60%以上の正答率で合格となります。

*2020年はコロナウイルスの影響もあって、上期(7月)の試験は中止となってしまいましたが、後期試験は12月に開催されていたため、来年以降はおそらく通常通りに近いスケジュールで進むのではないでしょうか。

それぞれに対応したテキストは、協会HPからオンラインショップで購入可能です。

参考:ファッション販売能力検定3級テキスト

受験の意味

さて、ではなぜこの検定を受ける、もしくは内容について学ぶことに意味があるのか?

通常、検定と呼ばれる物は、特に小売販売業界では比較的軽視されがちなように感じられます。おっしゃる通り、実際に現場で販売をする、接客をする中で、OJT的に学ぶことが非常に多く、現場で培うノウハウに勝るものはないからです。

だからこそ、検定という基準は一般論でしかない場合も多いため、検定が役に立つかどうかという議論は常々されてきていて、現場からは敬遠される節があります。

ただ、その中身を知らないままになんとなくのイメージで、敬遠している人も多いように感じます。

ファッション販売能力検定に限らず、同じ協会がやっている「ファッション色彩能力検定」や、他にも有名な「販売士」などの検定試験は多数存在しますが、その中身を詳しくご存知でしょうか?

これらの検定は、小売業で販売・接客をする上で欠かせない、あらゆる専門分野の基本が盛り込まれています。そうした基本を知っていて、現場で応用的に学んでいくことと、基本を抜きにして臨機応変さのみで仕事をしていくのでは、土台の強さのようなものが変わってくる場合もあります。どちらが良いとは一概には言い切れませんが、現在販売員として働く方々の中でも、「ファッションの基礎知識」として必要な3級レベルの内容も知らないまま仕事をしている方もいらっしゃいます。少なくとも基本知識はその分足りていないことになるので、(もしくは誤って覚えている)説得力が薄くなってしまうかもしれません。

あくまでも一つの論ではありますが、こうしたことを防ぐためにも、また、知識の土台を築くためにも、検定試験の内容を知るということは大事なように思われます。

ファッション販売能力検定の中身を簡単にご紹介

ということで、今回の本題、ファッション販売能力検定試験の3級を例にとって、中身について簡単にご紹介していきます。(実際の内容はテキスト等をご覧いただく方が良いかと思います)

どんなものなのかが気になっている方もいらっしゃると思いますので、参考になれば嬉しいです。

まず主な構成は以下。

1章 ファッション販売知識

2章 ファッション販売技術

3章 商品知識

4章 売り場づくり

5章 マーケティング

6章 販売スタッフの業務

それぞれの内容について少し触れます。

1章 ファッション販売知識

ファッション販売に関する基礎的な知識の項目です。

「ファッションとはどういうものを指すのか?」といった定義づけに始まり、販売スタッフに求めらる知識や技能、小売業の業態や業種などについても触れてあります。

意外と、「ファッションとは何ですか?」と聞かれて、明確に答えられる人というのは少ないのではないでしょうか?こうした定義づけをすることの重要性も理解できるはずです。

特に現在では、ファッション業態というものが、単なるファッション提案のためのものではなく、ライフスタイル全般に関わってきているというあたりは見逃せないところです。

2章 ファッション販売技術

2章では、主にファッション販売における接客・販売の技術について書かれています。

基本的なマナーや、敬語や外国語を含めた言葉遣い、ビジネスマナーまで。また、購買心理と呼ばれるお客様の購買に関わる段階的な心理についても書かれています。それぞれの購買心理に合わせた、段階的な販売員の接客行動についても触れてあるため、自分の接客行動がどこにどう当てはまるのかなどの理解も深まります。

ギフトラッピングの基本なども載っています。

3章 商品知識

商品知識が主な内容です。

ここは現役販売員の方にとっても重要項目。

商品知識と言っても、ファッションに関わるものですが、いわゆるファッションの分類からそれぞれのアイテムの名前(由来)、柄や素材に関することが掲載されています。

ファッション雑貨(服飾雑貨)と呼ばれるアクセサリー類や、靴、帽子などについても掲載があります。

特にここで見ておきたいのは、素材の詳細な情報かもしれません。

柄の名前などは知っているという販売員は多いと思いますが、その素材がどんな素材でどのようにできているのかまでを明確に答えられる人は多くはありません。

「販売ではそこまで必要性がない」と思われるかもしれませんが(実際に必要ない場面は多いです)、その一方で、素材の特性や特徴に詳しいと、商品説明もさらに深みが出てきますし、メンテナンスや扱い方を含めて、さらによりお客様のメリットとなる情報を伝えることができます。

こうした商品知識の基本は知っておくかどうかだけの知識の差になりますので、ぜひ見てみて頂きたい項目です。

細かいディティールについての話や、配色(カラーコーディネート)、洗濯表示、サイズ表示など、細かい内容も多々あります。ボリューム多めです。

4章 売り場づくり

売り場づくりの4章は、VMD(=ビジュアルマーチャンダイジング)に関連する内容が中心です。

VP、PP、IPなどの説明から、マーケティングとしてのショップコンセプトやショップアイデンティティ(SI)の考え方、動線やゴールデンゾーンについての記述もあります。

ファッション販売らしく、マネキンやトルソーを使ったビジュアルの作り方や、陳列の基本となる構成の仕方、各什器の名称なども載っていて、なかなか仕事を始めてからは学びにくいのではないかなーと思うようなことも。

知っているようで意外と知らない情報が満載です。

5章 マーケティング

マーケティングについて細かく書かれているのが、5章です。

マーケティングも一言では言い表すことができないほど深い分野ですが、販売員という仕事だとなかなかマーケティングの部分まで踏み込んだ内容で教育を受ける機会はないようです。

その点、現場において必要とされる基本知識を含めてマーケティングの内容が学べるというのは、この検定のポイントになっています。

自分たちの企業(店)が、どのような立ち位置に立っているかを知る上でも重要な項目です。

店長職に近い方は、知っておかなければいけない情報が多々あります。

6章 販売スタッフの業務

最後の章は、販売スタッフのリアルな業務内容についての章です。

営業中、営業外の仕事内容について、また、数値管理やキャリアプランについても言及されています。

特に数値管理に関しては、自動化により数値が勝手に計算されている中で、その数字が持つ意味を理解できていないという人も多い様子。こうした数値について学ぶことも大事だと感じます。

構成される要素を知っておくこと

ファッション販売能力検定では、ファッション販売に関わるあらゆる分野のことが学べます。こうしたことを学ぶことで、「ファッション販売」がどのように構成されているのか、その要素を理解することができると感じます。

アパレル販売員としては、必ずしも検定試験を通過する必要はないのかもしれませんが、どんな要素で販売という仕事が構成されているかを知ることは、必ず仕事の役に立ちでしょう。

きちんと理解した上で、実務に臨んでいただけるように努めていきます。